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超短編『連続点』

『連続点』

 昨日のわたしはわたしではない。そう言ったわたしも既にわたしではない。わたしは瞬間に点として存在し、(1/∞)の間隔を空けて観測された軌跡としてある。A点のわたしはB点のわたしとは別人であるが、その影響を受けないわけではない。なにしろ外から観測する分にはわたしという線なのだ。AがBに対して過去である場合、B点のわたしはA点のわたしを考慮して決定される。しかしそれでもA点のわたしとB点のわたしは別人である。ヒトが学習し続け成長し続けるなどと愚かなことを考える者がまだ多いようである。過去に受けた刺激を1点のわたしが全て覚えているかと言えば、答えはノーだ。過去を考慮はするが、今という1点のわたしが放つ言葉は今のわたしに纏めることができた汚物である。1日前の言葉は似ているかもしれないが、5年前、10年前の言葉は、たとえ言葉自体が同じであってもわたしの物ではない。それでも出てくる同じ言葉は、それが各点のわたしが繰り返し受け続けている刺激による表現形であることを示す。だからわたしはあなたに対して汚物を投げる。

「ねぇ、甘えさせて」

 放った次の瞬間、わたしはわたしではない。

(氷砂糖486粒)
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 超短編のパトロン第3回投稿作、掲載。金3,000円。
 もともと空虹桜disのつもりで書いていたので、なんだか評価が高くて困ってしまった。でも、空虹桜さんに「読ませたかった」という意味ではすごく頑張って書いたお話ではあるので、ちゃんと読んでもらえた上に評価してもらえて嬉しいです。
 ネタ元は刑法に於ける「時効」の概念。

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そっか

disられたのかー
中高ぐらいの時、時間概念をいろいろひねくり回してたら、同じよなことをいろいろ考えたですよ。
「時間の矢」は、時間が滑らかに連続している前提なんだよなぁとか。

つもり、です

>空虹桜さん

細かく説明していけば長々となってしまうところですけれど、まあ「disのつもり」ではありました。笑
SI単位系とかももう、うろ覚えなんですがねー。使わない知識は衰えるのが早い。
だからね、何が言いたいかっていうとね、同じ話でも聞かせたかったら何度言ってもいいんだよ、と。んで、私はそうするよ、と。
なんかエラソーですけど、読者に訴えかける形にそういうものがあってもいいじゃない。
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こおり

Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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