500文字小説『オフ会』

『オフ会』

 遠方から友達が来るというので会う約束をする。
 普段はどうしようもない姿をしているので、少し身ぎれいにしようと準備。電話でヘアサロンに予約を入れ、ネイルサロンにも予約を入れ、百貨店のセール情報をチェックした。
 予約どおりにヘアサロンへ行くと、若い男性スタイリストからきれいに髪をカットされた。
 予約どおりにネイルサロンへ行くと、若い女性ネイリストにきれいに爪を彩られた。
 予定通りに百貨店をめぐり、素晴らしく足にフィットする靴と、肌触りの良いブラウス、シルエットがすてきなスカートを手に入れた。
 ところが友達と会う前日になって、困ったことにお腹がいたい。
 いたい。いたい。
 どうしようと考えてネットショップを検索し、実体をお急ぎ便で注文する。少し高くついてしまったが注文当日に実体は届けられ、大急ぎで記憶と思考を移す。実体は困ったような顔をしているが、困っているのはこっちである。
 当日の朝、身ぎれいにした実体を玄関で送り出した。本物よりもかなり人間らしい姿をしている。
 友達とは長い付き合いだけれど、実際に会ったことは、まだ、ない。

(氷砂糖467粒)

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Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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