ホラー超短編『白い!』

『白い!』

 一時間後の締め切りに間に合う気がせず、カンヅメ用の部屋を融通してもらう。
 ドアを開けるとあまりの白さに戸惑う。窓はない。壁も白けりゃ床も白、机と椅子まで真っ白だ。けれどそんなことに構っている暇はない。机にノートパソコンを置き、椅子に座り、ワープロソフトを立ち上げる。あと五〇分。
 カタカタと打ち込み続け、タバコが吸いたいと思って顔を上げると壁の白。当然禁煙の部屋だろう。モニターに視線を戻すと書いた文章が全て消えている。どうしたことだ。あと二〇分。
 焦りながらカタカタとキーを叩き続ける。ペットボトルのお茶を一口飲んでモニターに視線を戻すと文章が消えている。どういうことだ。あと一〇分。
 カタカタ、カタカタ、打鍵を続ける。もうすぐ書きあがる、と今までのところをスクロールすると画面外に文章がない。どうなっているんだ。あと三分。
 文字を打ち込み続け、文章が消えていないか確認して、ところが消えていて、カタカタと指を動かす。書いたところから文章は消え、書き、消え、書き、消え、まるでいたちごっこ。
 背後でギィッとドアのきしむ音がして、振り返ると担当者ではない白ずくめの男がいる。
「時間です」
 男が近寄っ

(氷砂糖500粒)

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 ガリレオ・ホラー超短編投稿作。
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Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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