300字SS『染まらない』

『染まらない』

 魔都で一番の娼館で一番の姫は、黒髪の姫でした。
 噂は辺境にまで届き、男たちはどんなに美しい姫なのだろうと夢見、女たちはどんなに汚れた姫なのだろうと蔑んでいました。不思議なことに噂は遠い昔からあるようです。
 娼館には丁稚の少年がいました。少年は黒髪の姫がどれほど美しいか、どれほど客を迎えているかを知っています。
「本日でお暇をいただきます」
 少年は年季明けの挨拶を姫たち一人一人に行いました。挨拶をすると黒髪の姫はたちまち白髪の老婆になりました。老婆は連れて行ってくれないかといいます。
「わかりました」
 憐れんだ少年が口に出すと、呪いが解けた老婆は目を閉じて、穏やかに息を引き取りました。

(氷砂糖294粒)
----

 企画「#Twitter300字ss」参加作品。
 お題テーマ:色

コメントの投稿

非公開コメント

注目情報
競走馬ロックキャンディ号の応援サイトではございませんのでご注意ください。
ブログ内検索
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール

こおり

Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

KDP始めたよ!
RSSリンクの表示
リンク
Booklog