300字SS『左手のピンキーリング』

『左手のピンキーリング』

 貴方は私を飾る。
 初めはネックレスだった。可愛らしいハートチャームの。私はそれを着けてデートに行く。
 寒い誕生日にコートをくれた。キャメル色のロングコート。私はそれを着てデートに行く。
 春には長い髪を留めるバレッタを。夏にはカラフルな水着を。秋には柔らかな手袋を。
 次第に増え、身に着けるものはほとんどが贈り物になった。
 貴方の望むように私はそれらで私を飾りデートに行く。貴方との、ではなく。貴方とのではなく。
 飾った私が誰かと遊んだ後。
 貴方の隣で、貴方から贈られたものは何もないシーツの間。飾らない私に触れる貴方はとても満足そう。いつもそう。
 小指を飾る小さな指輪だけが、私が私の為に選んだ物。

(氷砂糖300粒)
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 企画「#Twitter300字ss」参加作品。
 お題テーマ:飾る

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Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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