Luminescence of Rock Candy

【学ぶ】『学校法人暁学園』

　ひかり町の名門校、暁学園は幼稚園から高等学校までの一貫教育を行っています。大学は併設されていませんが、地区でも随一の進学校であることは誰もが認めるところです。月に一度第一記念講堂で行われる講演会は、学校関係者以外でも飛び入り聴講が可能です。過去には元財務省官僚、バイオリン職人、豆本作家、自宅警備員、余命一ヶ月の花婿、手話が出来る猿など、枠にはまらない各分野のスペシャリストを講師として招いています。講演開催日には校門が開けられていますので、一流の方々の話に耳を傾けてみるのはいかがでしょうか。

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【ものがたり】『無謀な抵抗』

　夜からのバイトのために昼寝をしていたら玄関チャイムが鳴った。書留。暁学園？　知らねぇな。分厚いＡ４サイズの封筒だ。中には本でも入っているんだろうか。ハサミで開ける。中から出てきたのは十三種類の書類。一番上の一枚だけ目を通す。学校に講演をしに来いってぇ？　なんで俺が？　学校なんて蕁麻疹モノだ、と俺のロック魂が叫んでいる。断るには……この書類に記入？　二千を超える項目を六十ページにわたって記入して返送？　め、面倒臭ぇ。やる気はないけど受けたらなんか謝礼とかは……十万円！　交通費別！　いやいや、俺はロックだからな、学校は窓ガラスを割る場所、だから講演なんて、どうしよう。

（氷砂糖286粒）

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【ものがたり】『大きな子供』

　校歌の中で「光り輝く子ら」と歌われた私たちも、もう子供なんていえない三十路。五年ぶりの同窓会は盛り上がった。みんなそれぞれに苦労自慢。ま、ありがちありがち。初恋のキミヒロはまだ独身だったけど、相変わらずバカばっかりやってるみたい。そういうところ、好きなんだけど、好きだけじゃやっていけないのよね、もう賞味期限が切れそうな女としては。私は行かず後家になるんだろうと安堵とも諦めとも取れる溜息一つ。ってキミヒロと二人で抜け出すことに。ヤダ恥ずかしい。その光る頭を一回叩かせてください。

（氷砂糖241粒）