300字SS『揺らめき』

『揺らめき』

 もともと喫煙者だったから、デートでは喫煙可の店ばかりに行った。彼はタバコを吸わない。
 バーにて。タバコを吸わない彼がシガーを頼み、へーって思った。
「吸ってみる?」
 私は頷き、キューバ産のシガーが整えられるのを眺めた。端を落とし、マッチで炙る。
「肺まで吸い込んじゃだめ、口の中で転がすように」
 タバコと違う艶のある煙は面白く、デートの度に違うシガーを試した。
 冬の前に彼の転勤が決まった。
 遠距離でいれるほど私は強くなく、彼は別れの際にターボライターをくれた。
「これならシガーも吸えるよ」
 私は貰ったライターを仕舞い込んだ。以前からそうしていたように百円ライターの揺らめく火でタバコに火をつける。

(氷砂糖298粒)
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 企画「#Twitter300字ss」参加作品。
 お題テーマ:火・炎

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モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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