三題噺『陸の食事』

『陸の食事』

 脚を手に入れて陸に上がった元人魚は、袋詰めされて売られていた金魚と出逢う。「買ってください」と言う。その言葉がわかったのは元人魚であるからで。
 元人魚はユニットバスに水を張り、買った金魚を放した。と、チャイムが鳴って恋人がやってくる。恋人はまだ陸に疎い元人魚のためにいろいろと世話を焼いてくれる。
「今日のお昼はちゃんぽんだよ」
 そう言ってキッチンに立つ。元人魚は金魚と他愛のない話をしながらちゃんぽんというものが出来上がるのを待つ。
 出されたちゃんぽんには野菜がいっぱい。恋人は説明をしてくれる。キャベツ・タマネギ・ニンジン・キクラゲ「クラゲ?」「キノコ」・キヌサヤ・モヤシ。
 昼食を食べたら元人魚が食べられる番だ。閉め切った部屋、ベッドの上で戯れる。
「楽器を奏でてるみたいだ」「いい声」「もっと」
 事後、金魚のいるユニットバスで水のシャワーを浴びる。バスタオルで体を拭き、服を着ようとした恋人のシャツがほつれていることに元人魚は気付く。
「繕ってあげる」
 指ぬき・針・糸を取り出してシャツに手を伸ばすと「大丈夫だよ」と口付け。そのまま服を着て帰ってしまう。
 金魚が騙されてるよと言う。ぱしゃり。

(氷砂糖498粒)
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 11月12日に開催されたイベント「声に出して読まれたいうのけブックス」に合わせて募集された三題噺投稿作。
 お題は「キノコ」「楽器」「指ぬき」。

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Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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