300字SS『欲求』

『欲求』

 捕まえてきた野良猫をモデルにする。飢えていたようで、猫缶を食べさせてやるとだらりと寝そべり、警戒心はどこへ行った。まあ好都合。
 絵心はない。画材屋で勧められるままに買った数種類の鉛筆を、ああでもないこうでもないと画用紙の前。不格好な丸に手足が生えて、毛並みが見え、影が付き、猫、らしきものが少しずつ見えてくる、ような気がする。描きあがったら野良猫は家から追い出す。また入ろうとするがお前にもう用はない。
 カーテンを閉めて通販で買ったナイフを取り出す。ずっとこうしたかった、でもそれは異常者のやることで、だからやってはいけなくて。
 ズタボロになった画用紙に滲む赤は、絵の具ではないのかもしれない。

(氷砂糖298粒)
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 企画「#Twitter300字ss」参加作品。
 お題テーマ:絵

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モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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