500文字小説『金貨』

『金貨』

 花鳥風月という舞踊は、四人の踊り子によって舞われるものです。
 花の踊り子が起であり、鳥の踊り子が承であり、風の踊り子が転であり、月の踊り子が結、と一人ずつ順に継いで舞台に立ちます。大変激しい舞踊なので、演舞の時間は確かに短いものではありますが、人前で踊るような四人組は肉体的に優れた、選ばれた踊り子ばかりです。
 祭事にて。
 赤い衣装の四人組は、持てる力全てを絞り出して演舞を行いました。
 司祭は演舞を終えた赤い四人に銀貨を与えました。四人は大変驚き、そして喜びました。演舞に報酬があるとは知らなかったためです。
 四人の出身地である貧しい村の人々は、四人が銀貨を貰ったことに大変驚き、そして喜びました。皆、口々に四人組を称えます。けれど村の誰かが、もっと優れた演舞で金貨を貰った四人組がいるようだ、と赤い四人に投げかけました。別の誰かが叫び返します。いつかは金貨だって届かないものではない、と。騒ぎはしばらく続きそうです。
 村の喧騒はさておき、銀貨が演舞を行った四人のものであることは間違いありません。

(氷砂糖451粒)

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Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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