300字SS『声を聞かせて』

『声を聞かせて』

 一方的な一目惚れ。あなたは私のことを知りもしない。
 あなたの全てが愛おしくて、あなたに語りかけて欲しくて、使い魔を放った。
 命じたのは「あの人の声を採ってきて」。ううん、奪うんじゃなくていいの。あの人に迷惑がかからないよう、そっと遠くから想うだけで。
 使い魔はあの人の声で喋るようになった。歌うようになった。私は何度も使い魔に喋らせる。歌わせる。
 今日もうっとりと会話をしていたら、うっかり使い魔の契約を変えてしまっていた。いつでも出て行きたいときに去っていいと。
 私はあの人の声を持つ使い魔に出て行かれては困るので、今日も使い魔のご機嫌をうかがう。
「ありがとう」
 不本意ながら、とろける。

(氷砂糖296粒)
----

 企画「#Twitter300字ss」参加作品。
 お題テーマ:声

コメントの投稿

非公開コメント

注目情報
競走馬ロックキャンディ号の応援サイトではございませんのでご注意ください。
ブログ内検索
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール

こおり

Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

KDP始めたよ!
RSSリンクの表示
リンク
Booklog