300字SS『風車は廻る』

『風車は廻る』

 その風車はプラチナで作られている。
 カラカラ、カラカラ。最初の所持者はある富豪だった。富豪は生まれた娘に玩具として与え、幼い娘は、単純な仕組みながらも動く風車の虜となった。
 富豪は爆発事件によって亡くなった。
 それが戦争の始まりだった。
 カラカラ、カラカラ。娘は年頃になり、貴金属の価値もわかるようになった。けれど父から贈られた風車は風車として所持していた。手入れをしなかったのですっかり煤けてしまっていて、誰もそれが貴金属とはわからなかった。
 世界最後の爆発は、世界中のあちこちで同時多発に起こった。
 カラカラ、カラカラ。街に出かけていた娘も犠牲になったが、風車は娘の家で廻っていた。

(氷砂糖294粒)
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 企画「#Twitter300字ss」、第二十回参加作品。
 お題テーマ:風

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モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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