300字SS『幻月』

『幻月』

 あの夜は月が並んで見えた。中央にくっきりとした満月。左右にぼんやりとした形。しっかりと思い出せる。知識はあったが、初めて幻月を見た。
 後ろから人にぶつかられて、なんだよと睨んだらそれは人ではなく黒猫だった。猫はこちらを見て、にゃあ、と鳴いた。威嚇されたと感じた。そして前方へ向かって走り去った。
 それから良いこと続きだ。積み上げてきた全てが巧く噛み合い始めたかのように、ね。周囲からの評価も上がったし、生活に困難を感じ難くなった。
 人生の、スピードが、上がった。
 四ヶ月ほど経つ。
 あの月光のように曲がって光ることはもう、許されなくなった自分だと感じる。このまま進んで良いのか。躊躇うのは、弱さ?

(氷砂糖299粒)
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 企画「#Twitter300字ss」、2月度参加作品。
 お題テーマ:光

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モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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