第144回競作、選評

 第144回競作『クスクスの謎』

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△<クスクスの謎2>(磯村咲)
> 「あっ、また!」

主人公が自身の物語(の演出)に不満を覚えるところが面白いと思いました。
俳優業の方もこういう風に思ったりするのかしら、とか。
ただ、いわゆる少女マンガをあまり好んで読まない(かった)ので
こういった関係性自体にはあまり興味がそそられなくて次点です。


×<クスクスの謎7>(白鳥ジン)
> 理由もなくツカレを感じ寝具を

主人公と准教授の関係性が掴めなくて、うーん。
主人公の目線が上からだったり、
准教授の挙動が上からだったり、
フラットな関係だったら准教授なんて言い回しはしなさそうだし、うーん。
文章が暴走してる雰囲気(改行なくどんどん進む)は嫌いではないのですが。
逆選です。


○<クスクスの謎8>(脳内亭)
> 不穏の影から生まれるほんのり小さな粒。

音楽ネタとはわかったものの、クラシックピアノの経験しかない(しかも子供の頃)ので
コードがわからなくて、なんかちょっと悔しいです。
不思議な設定だけで終わらせず、それを用いて物語を動かすのは技あり。
しかも、結末は私好みの物悲しい感じで、これは正選を贈らねばなりませんね。


○<クスクスの謎12>(千百十一)
> ふらりとフランスへ留学した友人に

タイトルを見たときにまず浮かんだのが「極小パスタであるところのクスクス」だったので
それをきちんと物語に織り込んでいて巧いなあと思いました。
馴染みのないものに重さを持たせて物語を動かすことができるっていうのは
取材力の差なのかなあ、という独り言。

扱っているネタが、平野啓一郎「マチネの終わりに」を思い起こさせましたが
まだ連載中の上に途中から読んでないんだよな「マチネ~」。

クスクス自体には「馴染みのないもの」としましたが、
アラブ世界はもう身近になりつつあるというか、距離はそう遠くないものなんでしょうね。
時事ネタは基本的には嫌いなのですが、このくらいの扱いならリアリティを伴って読めました。

あと、ラストの1行は、これで重みを増したわけではないと読みます。
もともとパスタ缶・ソース缶共にそこそこずっしりと重みがあって、
ただ最初に出てきたときは書かなかったのでしょうが、
友人である「彼女」が、危険地帯へ、もう会うこと触れることができないかもしれない状況で、
フィジカルに「物体」として感じられるもの、それが「缶の重さ」だったのだと思います。
この一文をラストに持ってきたのは巧いと思います。

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息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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