300字SS『長く暖め、すぐに味わって』

『長く暖め、すぐに味わって』

 セツナの好きな豚の角煮を仕込んでいる。下茹でした豚肉の表面を焼き、生姜と調味料を入れた鍋で灰汁を取りながらことことと煮込む。圧力鍋があればもっと簡単にできるな、なんて考えるけれど買うには至っていない。文庫本を片手に二時間ほどキッチンで過ごす。
 ちょうど大皿に盛りつけたところで炊飯器が鳴る。
「わぁ、トワの角煮だぁ!」
 休日にちょっと手の込んだ料理を作ることはここ最近の趣味みたいなもので。
「とろ旨ぁ!」
 角煮は箸がすっと入るほど柔らかくなっている。白飯と共に頬張りながらセツナが言う。
 セツナは差し出したものを何でも喜んでくれる。日々、セツナに救われている。角煮はあっという間に二人の腹の中。

(氷砂糖297粒)
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 SS企画《俺のグルメFESTIVAL》参加作品。
 http://halves.web.fc2.com/GRMfes/index.html

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モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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