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アイリッシュパブのほら話『みんな酔ってる』

『みんな酔ってる』

 嘘の大きさを測定する機械を手に入れたので使ってみたいと思い、ほら吹きばかりが集うと噂のパブに連れて行ってもらったんだ。店内は騒がしく、活気にあふれていた。同僚と二人、カウンターの端に陣取って、とりあえずギネスを二杯注文する。
「ニイさんたち、どこから?」
 勤め先が隣町だと伝えると、客たちが口々に自らの職業を明かす。
「俺はねえ、船乗りさ」「俺はカイシャの社長」「レンコンの穴開け作業員」
 機械はちっとも反応しない。
「わしは天子」「死んだ人の魂を天国まで運ぶ運送業」「神」
 機械はやっぱり反応しない。壊れているのか、それともそもそも偽物を掴まされたか。
「その、ちらちら目をやってる物はなんだい?」
 機械の説明をすると静まり返る店内。僕は笑いながら続ける。
「パチモンを買わされたみたいです」
 バーテンダーが「皆さま普通の方々ですよ」と言うと、表示板の針が赤いところまで大きく振れた。

(氷砂糖389粒)
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 10月25日に開催されたイベント「アイルランド文学と超短編」の連動企画として、タカスギシンタロさんが「アイリッシュパブのほら話」というテーマで超短編を募集していらっしゃいました。その応募作。
 賞はもらえませんでしたが、得点上位作品(5位)に選んでいただきました。

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こおり

Author:こおり
モノカキ時は「氷砂糖」の筆名使用。
息をしたり、寝たり、食べたり、音楽を聴いたり、500文字小説を書いたりしています。
鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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