『融けない魔法』
「懐かしい……」
氷の妖精は空から降る雪を見て、思わずつぶやきました。
魔女の魔法によって氷の妖精は一年間だけ、融けない体を手に入れていました。暖かくとも融けませんので冬が終わっても妖精の世界へは行かず、移る季節をその体で感じた一年でした。
春はうきうきしました。色とりどりの花が咲き乱れているのです。
夏は疲れ果てました。じりじりと焦がす太陽は人にとってもつらいものです。
秋は寂しく思いました。生き生きしていた物事が次第に速度を緩めていくのです。
そして、冬。
巡ってきた氷の妖精の季節です。
「あら、久しぶりだね」
「他の季節はどうだった?」
「また一緒に遊ぼうよ」
雪と共に舞い降りてきた仲間たちが口々に氷の妖精へ話しかけます。
「それでいいのかい?」
魔女もいました。
「望むならもう一年、融けない体をあげましょう」
悪い魔女ではありません。差し出された手を掴めばまた一年を眺めることができます。
「少し、考えさせてください」
氷の妖精はためらいがちに言いました。
「今は仲間と冬を楽しみたいのです」
氷の妖精がそう言うと魔女は、春までにね、と言い残して跡形もなく消えてしまいました。
(氷砂糖490粒)
「懐かしい……」
氷の妖精は空から降る雪を見て、思わずつぶやきました。
魔女の魔法によって氷の妖精は一年間だけ、融けない体を手に入れていました。暖かくとも融けませんので冬が終わっても妖精の世界へは行かず、移る季節をその体で感じた一年でした。
春はうきうきしました。色とりどりの花が咲き乱れているのです。
夏は疲れ果てました。じりじりと焦がす太陽は人にとってもつらいものです。
秋は寂しく思いました。生き生きしていた物事が次第に速度を緩めていくのです。
そして、冬。
巡ってきた氷の妖精の季節です。
「あら、久しぶりだね」
「他の季節はどうだった?」
「また一緒に遊ぼうよ」
雪と共に舞い降りてきた仲間たちが口々に氷の妖精へ話しかけます。
「それでいいのかい?」
魔女もいました。
「望むならもう一年、融けない体をあげましょう」
悪い魔女ではありません。差し出された手を掴めばまた一年を眺めることができます。
「少し、考えさせてください」
氷の妖精はためらいがちに言いました。
「今は仲間と冬を楽しみたいのです」
氷の妖精がそう言うと魔女は、春までにね、と言い残して跡形もなく消えてしまいました。
(氷砂糖490粒)
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